社長の大学★長谷川博之
2020年5月15日3 分
最終更新: 2020年5月23日
もう20数年も前のことになりますが、私が会社員だった頃の話です。
当時、独立を考えていた私は、経営の勉強会を主宰していました。
「21世紀経営研究会」なる怪しい団体名でした。
それでも、2年くらい継続できたのですが、最後は自然消滅してしまいました。
理由は簡単で、代表の私が活動をしなかったためです。
数回、有名経営者をよんで講演会を主催しました。
その中で一番話題性があり、集客できたのは、菊水酒造の高澤英介社長(当時)の講演会でした。
当時私は、新潟県三条市に住んでいましたので、地元のローカル新聞2社が事前告知をしてくれて、当日の講演会も取材していただきました。
ラッキーでした。
ですが、この講演会により21世紀経営研究会が広く世間に知られたかといえば、講演会が注目されただけで終わりました。
世間は厳しいです…。
この講演の中で高澤社長は、日本酒は誰が造るかという話題に触れました。
一般的な日本酒業界の常識から考えると「杜氏(とうじ)」です。
ですが、菊水酒造は杜氏制度を廃止していました。
業界の常識に逆らったのです。
高澤社長曰く、日本酒は「麹菌」が造ると。
ですから麹菌が育つ麹室(こうじむろ)の環境をいかに整えるかが大切と言っていたのを今でもよく憶えています。
ポイントは、良い環境を作ってやることなのです。
それ以上でも、それ以下でもありません。
よく「人を育てる!」「企業は人材がすべて!」と言われます。
特に、経営者は人材育成に関して興味があります。
社長自ら、年間300時間以上の新入社員教育を行っている企業もあります。
社長も大変ですが、新入社員も大変です。
年間300時間ということは、1日1時間以上を教育に費やすのですから驚きです。
私もコンサルタントとして、人材育成には多少なりとも関わっていますが人を変えるのは大変難しいのが現実です。
コンサルタントとして駆け出しの頃は、クライアント先の社員を「育てよう、育てよう」と思っていました。
育てるとはある意味、人を変えることでもあります。
ですが、一生懸命やればやるほど、人を変えることから遠ざかっていきます。
むしろ、私が関わることで衰退しているのではないかと思ったこともありました…。
人間は、そう簡単には変われません。
ましてや、社長に言われてコンサルティングをやっているのですから、積極的に関わっているのではないのです。
このような経験から、人を変えることはできないということがわかりました。
新潟県上越市で無農薬栽培のお米を作っている友人から、こんな話を聞いたことがあります。
いい米を栽培するには、まずは土壌づくりだということです。
土壌を改善するには、何年も手入れをしてやらなければできないそうです。
一朝一夕では無理なのです。
菊水酒造の「麹室」や米栽培における「土壌」は、環境なのです。
結局、人を変えることはできませんが、人を変えることのできる環境を整備することはできます。
企業では、それが経営者や上司の役目なんだと思います。
変わるか変わらないかは、本人次第です。
経営者や上司ができることは、本人が変わりたくなるような、変わった方がいいと思わせる環境をいかにして作るかに尽きるのです。
「変われ!」と言われても、変われないのが人間です。
正しいことを言われても、簡単に聞き入れられないのが人間です。
今までの習慣も、変わることに対して邪魔をします。
そんなに簡単に変われるなら、誰も苦労はしません。
だからこそ私たちのできることは、環境を整えてやることです。
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