先日、衝撃的なエピソードを聞きました。
それはiPheneの開発秘話です。私は何の疑いもなく、スティーブ・ジョブズがアイデアを出し、それを具現化したものだと思っていました。恐らく、多くの人がそう思っていたと思います。そこで今日は、商品開発の落とし穴についてわかりやすく解説します。
これから紹介する話は、ペンシルベニア大学ウォートン校教授で組織心理学者のアダム・グラントさんの著書「THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す」に掲載されているものです。この本は、ニューヨークタイムズNO.1のベストセラーとなり、邦訳版シリーズ累計25万部を突破しました。アダム・グラントさんはデビュー作『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』は31ヶ国語で翻訳され、全世界で大ベストセラーとなりました。
本書は、思い込みを手放し、発想を変えるための方法を記したものです。
あのスティーブ・ジョブズでさえ、思い込みを手放すことが難しかったという話です。
Apple社が時価総額世界一なった最大の要因は、なんといっても「iPhone」の大成功です。これに異を唱える人はいないでしょう。ところが、ジョブズはiPhoneの開発には大反対をしたのです…。
当時、一番の売れ筋商品であった「iPod」を携帯電話に変えるというアイデアが持ち上がりました。このアイデアを提案したのは、社内の小規模チームでした。これを聞いたジョブズは、「何のためにそんな馬鹿げたことをするんだ?冗談を言うのもほどほどにしろ!」と真っ向から反対しました。ジョブズは上手くいっているiPod事業の売上を損なうことを大変危惧しいていたのです。そもそもジョブズは、絶対に携帯電話は作らないと何度も断言していました。
この背景には、そもそもジョブズは携帯電話業界に不信感を抱いていたことがあげられます。通信キャリアが課す制限の中で製品をデザインするのは、彼にとって堪えがたいことだったのです。通話が途切れたり、ソフトウェアがクラッシュしたりすると、いら立ちのあまり自分の携帯電話を叩きつけて粉々にしたこともあったそうです。
それでも小規模チームは、粘り強く自分たちのアイデアをジョブズに話し続けました。
「既存の製品に電話機能を加えるだけですよ」と、Apple社はコンピュータの会社であり続けることを約束しました。そして、ついにジョブズはチームの提案を受け入れました。
このような経緯があり、2007年のiPhone発表会でのジョブズの「今度のiPhoneのキラーアプリは電話です」というプレゼンになったのです。そして、初代をリリースしてから4年後には、Apple社の売上の半分を占めるまでに成長しました。つまり、既存の上手くいっている製品を変化させて、事業を成長させることに成功したのです。
本当に意外でした。
てっきりジョブズのアイデアかと思いきや、ジョブズは反対していたとは…。つまり、ジョブズでさえ、今までの方法にこだわっていたということなのです。現状維持バイアスです。
今まで慣れ親しんだ考え方ややり方を変えるのは、誰だって抵抗があります。
なぜならば、負荷がかかるからです。しかし、抵抗感を覚えたり、負荷がかかると思ったときこそ、ブレイクスルーできたり、成長できるチャンスです。自分の大事にしている価値観や考え方も、ときには手枷足枷になることがあります。飛躍しようと思ったら、これらを手放さないと次のステップに進めません…。
ジョブズでもはまりそうだった罠ですから、私たちはもっと気をつけなければいけません。
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