人間も企業も新しい取り組みをしなければ、成長が止まってしまいます。 むしろ、成長が止まるというよりも衰退していくでしょう。 現状維持は、衰退なのです。 人間には「現状維持バイアス」というものがあります。 現状維持バイアスとは、心理作用上の言葉の意味として、「未知なもの、未体験のものを受け入れたくないと感じ、現状のままでいたい」とする心理作用のことです。 冒頭紹介した通り、新しい取り組み=未知のことをしなければ成長しないので、人間は未知のものを受け入れたくないのです…。 なぜ、現状に留まりたいのでしょうか? 理由は簡単です。 現場を脱しようとすれば、それなりの努力も必要ですし、緊張も強いられます。 また、新しい取り組みをやるということは、現状の否定という側面も含まれます。 ですから一般的に、高齢の人ほど新しいことを受け入れなくなります。 誰でもが、新しいことにチャレンジするのに積極的ではないのです。 私は、約20年のコンサルタント経験で、このような場面に幾度も遭遇しました。 たとえば、クライアント先で「現状の課題は〇〇なので、〇〇を解決できる〇〇〇なことをやりませんか?具体的には…」と、新しい取り組みを提案します。 ですが、二つ返事でやりましょうという人はほとんどいません。 理由は。先程言った現状維持バイアスが外せないからです。
そして、次に出る言葉は、「数年前に一度やったことがありますが、効果がありませんでした…」「それやって何か変わりますか?」「それをやる目的は、なんですか?」「とてもじゃないですが、現状でも忙しいのにこのような取り組みをプラスされると働き方改革どころじゃないですよ!」など、やらない理由を次々と考えます。 人間は言い訳を考える天才だと思います。 出版社ディスカヴァー・トゥエンティワンの干場弓子社長は、著書の中でこんなことを言っています。 ============================================= 往々にして「理由」を考えているときは、要注意だ。 何かをやるのに理由なんていらない。 理由が必要なのは、やるときではなくて、やらないとき。 だから、自分が「理由」を考え出したら、気をつけたほうがいい。 まずは、理由の中に深入りしないで、身体でも動かしてみることだ。 次に、理由ではなくて、方法を考える。もっとうまくいく方法をと。 ============================================= 私も、まったく同感だと思います。 哲学者のニーチェは、「何か良いことをするのに、いちいち理由をつけなきゃいけない人間というのは、信用に足らない」という名言を残しています。 人間は、行動する理由があるから行動するのではありません。 むしろ、行動する理由がないのに行動してしまうことの方が多いのではないでしょうか。 それは、人間が感情を持っているからです。 感情が動かされてなんとなく行動するということの方が、行動する明確な理由があるから行動するというよりも多いのです。 その証拠に、買い物を考えてください。 購入する理由を考えてから購入した商品はどれだけあるでしょうか? たとえば、食事ならば、「美味しそうだったから」「お腹がすいたから」「流行っているので食べてみたかった」など、どちらかと言えば感情的なことなのです。 「昨日、中華料理を食べたので、今日は和食にしよう。和食の中でも〇〇が旬なので、今食べなければ来年まで食べられない。さらに、カロリーも制限したいので煮物がメインの定食にしよう!」などと理屈を並べてメニューを決める人は少ないでしょう・・・。 経営者は、科学的な根拠を提示することも大切ですが、感情が動くような言葉や表情、ボディランゲージをすることの方がもっと大切です。 ですから、新しい取り組みをやってみようと心動かせる何かが必要なのです。 それは、科学的なデータではありません。 ●株式会社リンケージM.Iコンサルティングのオフィシャルメルマガの登録はこちら。 https://www.linkagemic.com/mailmagazine ●YouTube「商いは門門チャンネル」の登録はこちら。 https://www.youtube.com/channel/UCPtBCiFhkj1lkaurZsoz64g/?sub_confirmation=1
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