AIが作ったバンドに世界が騙された|経営者が今、絶対に考えるべきこと
- 社長の大学★長谷川博之

- 10月10日
- 読了時間: 5分

2025年、Spotifyで突如バズった新人ロックバンド。 再生数は数百万回を突破。 SNSでは「新しい時代のロックだ!」と絶賛され、 メディアは彼らを“令和の革命児”と報じました。
しかし――数ヶ月後、衝撃の事実が明らかに。
「このバンド、実在しません。メンバー全員、AIが生成した架空の存在です。」
驚きの声が上がる中、もっと驚くべきことが起きました。 多くのリスナーが「え?AIだったの?全然わからなかった…」と答えたのです。
つまり、AIが作った“偽物の感情”が、 人間の“本物の感動”を上回ってしまった。
この事件は音楽業界の話で終わりではありません。 これは、すべての中小企業経営者に突きつけられた現実なのです。
なぜなら、AIがいま作っているのは「文章」や「画像」だけではなく、 “本物らしさ”そのものだからです。
営業の大学・株式会社リンケージM.Iコンサルティングの長谷川博之です。
営業コンサルティング9000回、クライアントへの売上貢献額は100億円以上です。
また、日本初のAI営業コンサルタントとしても活躍しています。
AIツールを導入している中小企業は、いまや珍しくありません。 営業資料の自動生成、SNS投稿、採用ページ、社内研修資料、メール文面…。 ChatGPTやClaudeが“社員のように働く”時代になりました。
便利ですよね。でも、その裏で静かに広がっている不安があります。
「これ、本当にうちの会社の言葉なのか?」 「AIに任せた文章って、どこか他人のようだ…」
実際、私が支援している製造業の社長もこんな体験をしました。
AIで提案書を作ったところ、取引先からこう言われたんです。 「これ、どこかのテンプレでしょ?心がこもってないね。」
ショックでした。 なぜなら、その提案内容はAI的には“完璧”だったからです。 文法も構成も正しい。 でも、「温度」がなかった。
一方で、別の会社では、資料はシンプルでも社長が自分の言葉で語った 「たった一行」が心を動かした。
「私は、この商品が好きなんです。」
その一言が決め手となり、契約が成立。 AIには絶対に出せない、“人間の温度”が信頼を生んだのです。
AIの言葉には、確かに「正しさ」があります。 でも「魂」は宿りません。
ここで気づくべき大前提があります。
これからの時代、経営で問われるのは「何を言うか」ではなく、「誰が語るか」です。
AIが作るコピーは上手い。でも、心には残らない。 なぜなら、それは「誰の声でもない」からです。
たとえば、ある中小企業がAIでプレスリリースを作りました。 完璧な文章でしたが、反応はゼロ。 逆に、社員が夜中に手書きで作ったチラシは、30件の問い合わせを生みました。
そこには、“人のにおい”があった。
言葉の力を決めるのは、語彙や構成ではなく、「意志の濃度」なんです。
AIが語るのは“正解”。人間が語るのは“意志”。
そして経営とは、正解を出すことではなく、意志を示すことなんです。
では、AIが「本物らしいニセモノ」を量産する時代に、経営者はどう戦うべきか? ここからは、私が200社以上の現場で導き出した3つの答えを紹介します。
1.AIには代弁させよ、本質は本人の意志に宿る
AIにトークを書かせるのは構いません。 しかし、最後の言葉だけはあなた自身が語ること。
たとえば、営業メールなら「追伸」に社長の一言を添える。 「私はこの商品を心からおすすめします。」それだけで反応率は2倍に変わる。
また、プレゼンの最後を「代表の肉声」で締めるだけで、 記憶に残る率は3倍に上がるという調査もあります。
AIは“書く”。人は“語る”。
この分担を明確にすることが、AI時代のコミュニケーション戦略の基本です。
2.生成された正しさではなく、実感のある弱さを語れ
AIが作る文章は、綺麗すぎる。だから、共感が起きない。
ある飲食店では、AIに店舗紹介文を書かせていました。 「地域密着型の温かい雰囲気」――完璧。 でも、お客様はピンと来なかった。
そこで、オーナーの手書きの一文に変えました。 「開店初日はお客様が2人しか来ませんでした。 でも、あの日を忘れずに今も頑張っています。」
結果、SNSで大バズり。
「このお店、応援したくなる!」というコメントが殺到しました。
弱さは、共感の入り口。 完璧ではない言葉にこそ、“人間の真実”がある。
AIは正しさを出す。人は、温度を出す。
3.AIで語る前に、“問い”を磨け
AIは“問われたこと”にしか答えません。 だから、AIに問う前に、「何を問うか」を決めることが重要です。
「売れる商品を作りたい」ではなく、「私たちはなぜ、この商品を作るのか?」
「どうすれば利益が出るか」ではなく、「誰の幸せを支えるために存在しているのか?」
AIに与える“問いの質”が、そのまま会社の哲学を映します。
たとえば、あるIT企業ではAI導入前に全社員に聞きました。 「AIが代わりに仕事をしてくれるなら、あなたは何に時間を使いたい?」
その答えが、「お客様と話す時間を増やしたい」だった。
結果、AIが資料作成を担当し、社員が顧客対応に専念。 顧客満足度が120%に跳ね上がりました。
AIは使い方ではなく、“問い方”が命です。
AIは、いまや人間のように喋ります。 文章を書き、絵を描き、音楽を作り、時には感情すらシミュレートする。
でも――AIがどれだけ賢くなっても、「なぜ語るのか」は説明できない。
「なぜその言葉を選んだのか」 「なぜその人に伝えたいのか」 それを語れるのは、人間だけです。
だからこそ、AIが進化すればするほど、人間の意志の価値は上がっていく。
中小企業がAI時代に生き残る鍵は、効率化でもスピードでもなく、存在感。
「この会社だから買いたい」 「この人だから信頼できる」
その感情は、AIがどれだけ発達しても作れません。
AIに任せるほど、人の言葉の重みは増す。 だから私たちは、AIを恐れるのではなく、使い倒すべきなんです。
AIに任せる仕事を増やしながら、その時間で“人間にしかできない言葉”を磨く。 それが、これからの経営者の生き方です。
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