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値上げで「嫌われる営業」と「信頼される営業」の決定的な違い

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先週、ある製造業の営業マンから相談を受けました。


「長谷川さん、値上げの話を切り出した瞬間、  担当者の顔が曇って…。  あの空気、もう二度と味わいたくないです」



正直、この気持ち、めちゃくちゃわかるんですよね。

僕自身、昔、新聞の訪問販売をやっていた頃、1年間で契約ゼロという地獄を経験しています。断られるたびに胃がキリキリして、玄関のチャイムを押す指が震えていました。 だから「相手に嫌われるかもしれない」という恐怖が、どれほど営業マンの心を蝕むか、身をもって知っています。



ぶっちゃけ、値上げしないほうがヤバい

でもね、ここで衝撃的なデータをお伝えしたい。

経済産業省の調査によると、値上げ交渉をしない企業ほど、赤字転落率が明らかに高いんです。

「関係を壊したくない」と我慢し続けた結果、会社そのものが傾いていく。 これって、まるで穴の空いたバケツに水を注ぎ続けているようなものじゃないですか?

2025年に入ってから、食品業界では前年比22%、建材では18%ものコスト上昇が起きています。「うちはまだ据え置きで頑張ります」は、もはや優しさじゃない。自殺行為に近いんです。

僕が現場で気づいた「3つの勘違い」

9,000回以上の営業コンサルをやってきて、値上げで苦しむ人たちには共通点があることに気づきました。


1つ目。「値上げはお願いすること」だと思っている。

「すみません、ご容赦ください」って頭を下げた瞬間、 相手は「もうちょっと粘れば撤回するかも」と思う。 違うんですよ。 値上げは懇願じゃなくて、ビジネス継続に必要な「戦略的な見直し」なんです。

2つ目。「値上げ=マイナスイメージ」という思い込み。

実際どうだと思います? 僕のクライアントで、値上げをきっかけに取引先との関係が深まったケースが何件もあるんです。相手も市場の状況をわかってる。 「いつ言ってくるかな」と待っている場合すらある。 問題は伝え方なんですよね。

3つ目。「営業マン個人の腕次第」だと思っていること。

値上げの成功って、実は9割が事前準備で決まります。 一人の営業マンに「なんとかしてこい」と丸投げするのは、あまりにも酷な話です。



営業の大学・株式会社リンケージМ.Iコンサルティングの長谷川博之です。

売れない営業チームを売れる営業チームに変える営業コンサルタントです。

9,000回以上の営業コンサルティング、クライアントへの売上貢献額は100億円以上。

また、日本初のAI営業コンサルタントとしても活躍しています。



実際にうまくいったトークを公開します

先月、ある商社の営業チームにこんなスクリプトを渡しました。

「今回の価格改定は、  過去3年間で平均12.3%のコスト上昇を反映したものです。  業界平均が15%上昇している中、  弊社は企業努力で8%に抑えてきましたが、  品質維持のため今回のご提案となりました」

ポイントは数字で安心感を与えること。 「なんとなく上がります」じゃなくて、具体的な根拠を示す。 これだけで相手の反応が全然違います。

そして、ここからが勝負。

「この値上げ分は、新たに導入する  納期保証制度と緊急時対応窓口の整備に  充てさせていただきます」

「だから上がる」じゃなくて、「こう進化するから上がる」という順番。 相手の頭の中が「損」から「投資」に切り替わる瞬間があるんですよね。



「他社はまだ上げてませんよ」と言われたら

この反論、絶対来ます。僕も何度も食らいました。

最初の頃は「そうですか…」とたじろいで、結局値上げを撤回したことがあります。 今思えば最悪の対応でした。

今はこう返しています。

「おっしゃる通りです。  ただ、市場全体がコスト上昇の圧力に晒されている中、  いずれ他社も動くことは避けられません。  その時に御社のサプライチェーンが混乱しないよう、  今のうちに安定した取引基盤を作っておくことが、  長期的には御社のためになると考えています」

そして——

「値上げまでの期間、御社の販売戦略の  サポートもさせてください。  一緒にこの時期を乗り越えましょう」

不満を「共に戦う仲間意識」に変える。これができると、 値上げ交渉が信頼構築の場に変わるんです。



値上げ前にやっておくべき「地ならし」

ここで一つ、意外と知られていないコツをお伝えします。

値上げ交渉って、実は当日の話術よりも「事前の関係構築」で8割決まるんですよ。

僕のクライアントで、毎回スムーズに値上げを通している会社があります。 何をやっているかというと、普段から取引先に「業界の最新情報」や「コスト動向のレポート」を定期的に送っているんです。月に1回、A4一枚程度の簡単なもの。

これをやっておくと、いざ値上げの話をするときに「あ、そういえば先月のレポートにも書いてありましたね」となる。唐突感がなくなるんですよね。

逆に、普段は音沙汰なしで、値上げのときだけ連絡してくる。 これだと「都合のいいときだけ来やがって」と思われても仕方ない。 こんな経験、心当たりありませんか?



値上げは「選別」のチャンスでもある

もう一つ、あまり語られない真実があります。

値上げを機に離れていく取引先って、実は最初から利益率が低かったり、 無理な要求が多かったりするケースが多いんです。

以前、ある建材メーカーの社長がこんなことを言っていました。 「値上げしたら3社離れたけど、残った取引先との関係がめちゃくちゃ良くなった。結果的に利益は上がったし、営業の負担も減った」と。

全員に好かれようとすると、結局誰からも大切にされなくなる。 これ、恋愛と同じかもしれませんね。



沈黙が一番怖い

最後にこれだけは伝えたい。

値上げを先送りにするたびに、状況は悪化します。 言い出せないまま赤字が膨らみ、最終的には取引停止。 そんな悲劇を、僕は何度も見てきました。


営業マンが握っているのは、単なる「値段」じゃありません。 それは、顧客との「未来の信頼残高」そのものです。

あなたの会社は、いつまでこの重圧に耐え続けますか?




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