価格を1%引き上げると営業利益はどうなる?
- 社長の大学★長谷川博之

- 1月17日
- 読了時間: 4分

企業にとって利益を拡大する最も効果的な方法の一つが、適正なプライシングです。
適正な価格設定を行うことで、売上高や利益率を大幅に改善できる可能性があります。
特に、価格をわずか1%引き上げた場合、営業利益は約8%も増加するとされています。
これは、原材料費や人件費などのコスト削減よりも、はるかに大きなインパクトを持つことを示しています。そこで今日は、プライシングについてわかりやすく解説します。
実は利益を増加させるには、価格をわずかに調整するだけで大きな効果が生まれます。
具体的に言うと、1%の価格引き上げにより、ほかの要素が変わらない場合、営業利益は8%増加します。一方で、1%のコスト削減を行った場合、利益への影響はそれに比べて小さいのです。さらに、売上数量を1%増やす戦略と比べれば、価格引き上げによる利益効果は約3倍に達します。
こうした数字から見ても、価格戦略が利益に与える影響の大きさは明らかです。
しかし、価格設定は一筋縄ではいかないというのもまた現実です。プライシングは諸刃の剣であり、適切でない価格調整は逆効果を招きかねません。
多くの企業は、売上を増やすために値下げを行うことがあります。
「値下げをすれば、売上数量が増加して結果的に利益が増えるだろう」と考えるかもしれません。しかし、残念ながら、これはほとんどのケースで成功しません。
1%の価格引き下げは、他の条件が変わらない場合、営業利益を8%も減少させる可能性があります。さらに5%の値下げを行った場合、その減益分を補うためには、売上を18.7%も増加させなければなりません。
また、値下げが顧客に与える印象も考慮しなければなりません。
安易な値下げは、製品やサービスの価値を低く見られるリスクを伴います。一度低く見られた価値を取り戻すのは簡単なことではありません。そのため、値下げによる売上増加を期待する戦略は、どの業界においても失敗に終わることが多いのです。
それでは、価格を上げても顧客に納得してもらうためにはどうすればいいのでしょうか?
その答えは、商品の付加価値を高めることです。単純に価格を上げるだけでは顧客に支持されません。顧客が「この商品にはそれだけの価値がある」と感じられるような付加価値を提供する必要があります。
たとえば、サービス面の強化や、アフターケアの充実、さらには商品そのものの品質向上など、さまざまな手段で顧客に新たな価値を感じてもらうことができます。また、ブランド力の向上も重要な要素です。ブランドが強いと、顧客は多少高い価格でも納得して購入します。
さらに、適切な価格設定を行うためには、マーケットリサーチを行い、競合他社の価格や市場動向を把握することも欠かせません。市場が許容する範囲内での価格引き上げを行うことで、顧客を失うリスクを最小限に抑えながら利益を増加させることが可能になります。
まずは自社の商品やサービスがどのような価値を提供しているのかを明確にすることからはじめましょう。次に、その価値に見合った価格を設定し、顧客にその価格が正当であると感じてもらうための戦略を立てます。価格を引き上げる際には、慎重な分析とテストが重要です。たとえば、段階的に値上げを行う、限定商品や新サービスでの試験的な値上げなど、リスクを最小限に抑えながら実行する方法もあります。
最後に、値下げが安易な解決策でないことを理解し、長期的な視点でプライシング戦略を考えることが必要です。適切なプライシングは、企業にとって非常に強力な武器であり、これを上手に使うことで、持続的な成長と利益の拡大が可能になるのです。
プライシングはビジネスにおける最も効果的な戦略の一つであり、価格のわずかな調整でも大きな影響を及ぼします。適正な価格設定を行い、付加価値を高めることで、顧客に支持されながら利益を増やすことができます。
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