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人的資本の開示義務化


働き方改革がはじまったとき、中小企業にとっては負荷が大きいと思いました。

これにより、気軽に残業ができるような雰囲気ではなくなりました。また、週休3日の企業が登場するなど、本当に働き方が変わりました。そして今回、またしても中小企業にとって、頭の痛い話が持ち上がりました。それは、人的資本の開示です。そこで今日は、人的資本の開示についてわかりやすく解説します。



そもそも「人的資本」とは何でしょうか?

人的資本の前に「資本」とは何かを解説します。資本とは、一般的に事業をおこなうために必要となる資金のことです。ただし、近代経済学においては土地と労働に並ぶ生産三要素のひとつとして定義されています。


これをふまえたうえで人的資本を定義すると、各国の国際機関や会計基準等において様々な定義がされており、決まった定義はありません。たとえば、経済協力開発機構(OECD)では、「個人の持って生まれた才能や能力と、教育や訓練を通じて身につける技能や知識を合わせたもの」と定義されています。さらに、「人的資本経営」という言葉もよく耳にするようになりました。



人的資本経営とは、従業員などの人材を企業価値を生む投資対象と捉え、人事制度や施策を講ずる経営のことです。もっとわかりやすく説明すると、企業としてどれくらい従業員を育成しているか、人材育成にどのくらい力を入れているか、ということです。



そして、ここからが肝心です。

内閣官房は今年の6月、人的資本可視化の指針案を公開しました。そして11月下旬に、2023年3月期決算企業から大手4000社対象になると発表されました。



人的資本に関して開示が望ましい項目は以下の通りです。

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・育成(リーダーシップ、育成、スキル/経験)

・エンゲージメント

・流動性(採用、維持、サクセッション)

・ダイバーシティ(ダイバーシティ、非差別、育児休暇)

・健康・安全(精神的健康、身体的健康、安全)

・労働慣行(労働慣行、児童労働/強制労働、賃金の公 平性、福利厚生、組合との関係)

・コンプライアンス/倫理

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さらに「育成」の開示情報の具体例をみると、

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研修時間、研修費用、研修参加率、複数分野の研修受講率、

研修と人材開発の効果、人材確保・定着の取り組みの説明、

スキル向上などプログラムの種類・対象

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などです。



つまり、上司と部下のオン・ザ・ジョブ・トレーニングではなく、外部講師に依頼して教育を受けていますかということです。そして、これらを開示しなさいと政府が要求するということです。



求職者が気にするもののひとつとして「人材育成」があります。

特に優秀な人材は気にします。人材育成をこれだけしっかりとやっていると開示している企業と、開示していない企業のどちらに就職したいですか?ほとんどの人は、開示している企業に就職したいでしょう。完全に中小企業が不利です。


その結果、人材育成を積極的にしていて、かつ開示している企業はどんどん業績を伸ばし、していいない企業はジリ貧になる…。企業の勝ち組と負け組が顕著になりそうな予感です。



このようなことが実行されようとしており、中小企業にとって採用が益々難しくなります。そもそも、教育に関わるコストを予算化していない中小企業も多く、もし開示が義務化となれば、採用のために人材教育をやらざるをえません。これだけ情報社会が進むと社内での教育では不十分です。ぜひ、外部講師に依頼して積極的に人材育成をおこなってください。




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